■ 抗生物質について: 抗生物質(antibiotics)とは、「微生物が産生する物質のうち、他の微生物の発育を阻害する化学物質」と定義されます。最近では合成技術の発達により、抗菌力を持った化合物を人工合成することが可能となりました。これらは上の定義からはずれるため抗菌剤と呼ばれることがあります。
抗生物質(抗菌剤を含む)にはたくさんの種類があります。抗生物質の使用の原則は、想定される起炎菌(感染症の原因となる細菌のこと)をカバーできるできるだけナロースペクトラム(その抗生物質が有効な菌種の数が少ないもの)のものを使う事です。ほぼすべての菌種をカバーできるブロードスペクトラムのものを安易に使う事は、耐性菌の出現や菌交代現象(必要のない細菌もやっつけてしまう事により、普段はその細菌の存在でおとなしくしている弱い細菌が増えてしまう事)によるMRSA感染症などの発生の原因となりますので、
慎重に考える必要があります。
■ ほとんどの「かぜ」はウイルスが原因ですので、ウイルス対しては全く効果のない抗生物質を
「かぜ」の時に使っても効果は期待できません。でも、日常の臨床では「かぜ」と診断されても抗生物質が処方される事が多いのはなぜでしょうか。 |