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脱水症について


 

 

脱水症とは

 

 体液量(体内の総水分量)が不足した状態をいいます。その体液に含まれるのものは、水分と電解質(ナトリウムなどの塩分)です。

 

 脱水症は、血液(細胞外液)の電解質組成によって以下のように分類されます。

  

  1. 低張性脱水
    • ナトリウムが多く失われる電解質欠乏性の脱水をいう。下痢・嘔吐などにより水分の喪失以上に電解質(ナトリウム)の喪失が著しい状態で、血漿中のナトリウム濃度と血漿浸透圧の低下を伴う。

    •  発汗や下痢嘔吐などの体液喪失に対し水のみを補充し続けることで容易に陥る。

    •  発熱や口渇感を伴ことはすくなく、皮膚・粘膜の乾燥も少ないため、初期には自覚症状が少ないが、進行すると全身倦怠感や眠気がみられ、 手足は冷たく脈拍が弱くなる。

  2. 等張性脱水
    • 水分とNa欠乏とがほぼ同じ割合で起こっている混合性の脱水をいう。口渇感がある。そのため水分を摂取し、低張性脱水に変化しやすい。

     

  3. 高張性脱水
    • 水分が多く失われる水欠乏性の脱水をいう。発汗の亢進、水分摂取の極端な低下などにより、専ら水分が不足した状態である。自分で水分摂取のできない乳幼児や高齢者に多い。 血漿中のナトリウム濃度と血漿浸透圧が高値になる。

    • 発熱と著しい口渇感を伴い、口腔などの粘膜が乾燥する。意識は保たれるが不隠・興奮の状態となる。手足は冷たくならず、脈拍もしっかりと触れる。

 

 次の症状や体重減少などが、脱水症の目安になります。

  1. 症状 ぐったりしている。遊ばない。寝たまま起きてこない。笑わない。尿が少ない(半日に1回以下など)。顔色が悪いなど。(ただし、吐いた直後は、一時的に顔色が悪くなったりします。これは心配ありません。)

  2. 3%の体重減少(水分の喪失量)。特に赤ちゃんでは、もともとの体重を知っておくことが大切です。

 

 脱水の程度は軽度〜重度に分類されます。

  1. 軽度の脱水 3〜5%の体重減少 (普通、点滴しなくて大丈夫です)

  2. 中等度の脱水 5〜10%の体重減少 (症状によっては、点滴が必要です)

  3.  重度の脱水 10%以上の体重減少 (たいてい点滴や入院が必要です)

 

水分喪失量の計算の仕方は次のようなものです。

  1. 下痢は1回約10ml/sで計算する。(1才ぐらいで体重10sなら、下痢1回で100mlになる。)

  2. 嘔吐の量は目分量で考える。

  3. 口からとった食物は大部分が水分として考える。もちろん、飲んだ水分量はそのまま計算する。

     

    体重減少(水分の喪失量) = 下痢の量 + 嘔吐の量 − 飲食量

     

 例えば、1才ぐらいで体重10sのこどもが、5回吐いて(目分量で合計約200〜300ml)、その間に下痢を1回した(10s×10ml=100ml)。水分は、100mlぐらいしか飲めていない(もちろん、飲んだ分はすぐ吐いてしまった)。少ししんどそうだが、歩いたり笑ったりしている。
 この場合、体重減少=200〜300+100−100=200〜300mlで、約2〜3%の体重減少なので、数字だけでいうと、脱水ではなく、まだまだ大丈夫というわけです。

 
 

脱水の治療

 

 脱水症の予防や、軽症で経口摂取が可能な場合の治療では、電解質を含んだ水分(スポーツドリンクや経口補液飲料=アクアライト、OS-1など)を飲ませます。スポーツドリンクは、ナトリウム濃度が低いため、特に乳幼児の下痢などに伴う脱水時にこれを与えると、低ナトリウム血症から水中毒を惹起する危険性があるので注意が必要です。乳幼児の嘔吐・下痢には経口補液飲料がよいでしょう。味噌汁などは血液とほぼ塩分濃度同一のため、発汗による塩分減少を補うには便利です。夏バテなどは電解質不足で起こることも多く、食塩補給にスープ類、カリウムの補給には果物などを利用することでコントロールできます。

 脱水が重度の場合や、全身状態が悪く経口摂取ができない場合や、下痢などで塩分の喪失があり、急速な治療が必要な場合には輸液を行います。