坂口こどもクリニック
 

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 こ ど も は 未 来 !                 

1989年に子どもの権利条約 が国連総会において採択されました。それには、子どもの  1 生きる権利 2 育つ権利 3 守られる権利 4 参加する権利 が 40か条の条文にされています。未来を背負う子どもたちが大切にされ、平和な世界で安心して楽しく育っていけるようにすること、それが私たちの生きた証となるのではないでしょうか。
 
今、少子化の流れのなかで、子どもたちが輝きを失っているように思います。子どもたちの笑顔がもっと多くなるように,生き生きと輝けるように、子どもの医療・保健にかかわっている者としてできる限り取り組んでいきたいと思っています。一般診療のほかに、乳幼児健診、育児支援活動、保育園幼稚園医活動、学校医活動と子どもを中心にして行動していくつもりです。
 
このホームページでは、日常の診療や健診・予防接種などがお互いに安心と満足いくものとなるように、当クリニックの考え方をお伝えします。

  「こどもの日に寄せて(5月2005年 )

 

「こどもの日に寄せて」 5月2005年北九州市医師会報 原稿 坂 口 祐 助  

 

こどもの日は、1948年につくられた国民の祝日に関する法律で55日に決められ、その趣旨は「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」とされています。こどもの日の趣旨として「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに」の部分は十分に納得できる文言です。これは1989年に国連総会で採択され、日本も1994年に批准した「子どもの権利条約」にも通じるようなものでしょう。では、「母に感謝する」はこどもの日とどう関係するのでしょうか。言葉遊びのようですが、「母に感謝する」の主語は、子どもが母親に感謝する日として「母の日」(起源はアメリカ合衆国で日本でも1923年頃からおこなわれ、公式に1947年から5月第2日曜となる)が設けられているので、ここでは法律の名からして国民と考えるのが妥当と思われます。そうだとすると、自身の命をかけて新しい生命を生み、それを育む母なるものに国民みなが感謝し、生命の大切さを考えると解釈し、こどもの日を「すべての国民が、生命の証としてのこどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、生命の源である母なるものに感謝し、命の大切さを思う日」と拡大解釈できる気がします。この解釈は勝手な自己流ですが、こどもの日を五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽:季節ごとの身のけがれをお祓いする行事)の一つである端午(55日)に充てたことや、国民の祝日に関する法律の第一条(意義)にある「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける」にも合致するものと思います。

 

しかし、ほんとうに子どもは大切に扱われているでしょうか。山上憶良が「銀(しろがね)も 金(くがね)も 玉(たま)も 何せむに 勝(まさ)れる宝 子に及()かめやも」と詠んだように古代から、子を思う親のこころやひとが子どもを慈しむこころは普遍のように思われてきましたが、実際には子ども虐待の例を挙げれば切りがありません。歴史的過去においても、子どもは社会の中でとても残酷に扱われてきました。これを生物学的・社会的淘汰という人もいますが、人権という観点からいうと、子どもの人権は最近になるまで語られることすらありませんでした。これは同様に女性や弱い立場のひとにもいえることです。

現在も世界的にみれば、子どもは辛い立場にあるように思います。国連児童基金(ユニセフ)の「世界子ども白書」(1990年から3年毎にその統計を見直して発表)の2002年版では次のようにあります。(国連でいう子どもは18歳未満です)

 

「もし1年間に世界で生まれる子どもが100人だったら」という統計によると、

  日本を含むいわゆる先進国で生まれた子どもは100人中8人で、発展途上国で生まれる子どもが100人中92人 (このうち中東を含むアジアで55人)。

  5歳まで生きられずに死亡する子どもが100人中9人。

  「生き残った」91人のうち18人 (このうち11人は女の子) は学校へ入れない。

さらに実数では、

  発展途上国を中心に、世界の総人口の約3分の1を占める20億人の子どもがいる。 

  栄養失調に苦しむ5歳未満の子どもは世界全体でつねに15000万人に達している。

  先進国なら問題なく予防できる病気で毎年1000万人以上の子どもが5歳を迎えられずに死亡する。

   世界全体で15歳未満の子ども約2億人が労働をして(させられて)いる。

  少なくとも30カ国以上で合わせて30万人の子どもが銃を手に戦場に立たされている。

  女の子の場合、売春を強いられ、あるいは性的虐待の餌食になる子は世界で約300万人。その8割が13歳未満である。

  売春をする女の子の「客」のうち7割ちかくは、日本を含む先進国の成人男性である。

  親をエイズで失った世界の「エイズ孤児」は1300万人。母体を通してエイズに感染して生まれてくる子どもは毎年約60万人。

 

また、同じ2002年に、国連に60カ国以上の首脳や180カ国の政府高官ら総勢6000人が集まり「より幸せな21世紀を子どもたちに」を合言葉に初めての「子供特別総会」を開いて「2015年までに子どもの死亡率を現状の3分の1に」「2010年までに未就学児童とエイズ感染児童を半減」「子ども買春や性的虐待、兵役強要などの根絶」といった目標を定め、実現へ国際社会が協力し合う決議を採択しています。 
 日本は、このような現実とはほぼ無縁だと考えられがちですが、グローバル化し、情報や移動の高速化がいっそう進む将来において、暴力に虐げられ、困窮に苦しみ、こころに傷を負った子どもたちが大人になり世界中に溢れてくることも予想されます。その一方で、日本では少子化が進み、子どもたちが輝きを失っているかもしれません。
 

 在り来りですが、子どもは未来、子どもを大切にすることはひとを大切にすること、子どもはおとなの鏡とより強く思いはじめている今日この頃です。